子どもの安全を考える!

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特集 子どもの安全を考える!

 このところ、全国各地で子どもたちを巻き込んだ犯罪が多発しています。県内でも高齢者やボランティアがPTAと連携し、児童の登下校時に通学路を見守る、不審者情報など警察と情報を共有する、人目が届かない「危険通学路」をチェックし「通学安全マップ」を作成するなど、子どもを守り地域の安全を確保する模索が続けられています。今回の特集では「子どもの安全・地域安全」について考えます。

「子どもの安全と防犯のまちづくりを考える」
                         和田佐英子  那須大学都市経済学部助教授

和田 佐英子(わだ さえこ)
1961年岡山県生まれ。国士舘大学政経学部非常勤講師を経て、2001年那須大学都市経済学部(2006年4月より、宇都宮共和大学シティライフ学部に改名)助教授に就任。現在に至る。専門は、都市財政論、都市コミュニティ論。
とちぎボランティアNPOセンター運営委員会副会長。都市コミュニティにおける公的欲求形成と地方公共団体の予算への反映に関心を持っている。

問題解決のカギは・・・市民の力

 治安の維持とか市民の安心・安全の確保というのは、もちろん政府の仕事であり、地方公共団体の仕事です。それを今、市民の協力を求めていかざるを得ない状況にあり、市民自身も生命とか治安に対する不安を持っています。この問題を解決するためには、行政だけではなく、コミュニティ全体の市民の力が必要になります。問題を解決するためには、地域住民全体が一丸となって問題解決にあたらなければなりません。「防犯のまちづくり」というのは、地域が一丸となれる打って付けのテーマです。
 一旦できた住民集団は、防犯のまちづくりだけに止まりません。また、新たな地域課題を解決しようと新たな展開、活動をしていくはずです。それが、新たなコミュニティの「創造」「再生」に繋がります。

「防犯」から生まれる“協働”

 市民参加、県民参加、市民県民と行政との協働ということを全国どこの自治体も言っています。しかし、通常の場合、なんらかの必然性がない限り、県民や市民の方から積極的に行政と協働していくケースは少ないです。しかし、この「防犯のまちづくり」は、住民一人ひとりが直接的な利害関係者であるため関心は高いです。また、この問題はひとりでは解決できません。地域の住民がみんなで一丸になって問題解決にあたらなければ問題を解決できないことを住民もよく
知っています。行政や警察の力を頼りにしています。 
協働も可能なのです。
 町内会を中心とした地縁団体、NPOやボランティアといった市民活動団体。どちらも地域のため、人のために頑張っているのは同じですが、同じ方向を向いて動いていないのが現状のようです。両者が連携して地域を発展させるには、それぞれの組織の長所(町内
会組織の継続性、強制力とNPO等の行動力)が最大限いかせる仕組みづくりが重要です。

地域の安全は、コミュニティづくりから
 

 継続的な活動を続けるには、地域の住民それぞれが共通のテーマ「防犯」についてしっかり考えること。そして考えるだけではなくて、実際に自分で行動を起こしてみることが重要です。
 「防犯のまちづくり」について考えている人たちの出会いの場をつくって、みんなで一緒になにかをやってみる。そうすれば新しい何かが生まれてくるはずです。同じ場所で、同じ空気を吸いながら、一緒に作業をしてみる。これがコミュニティづくりの原点です。こうしたコミュニティづくりがそのまま「防犯」のまちづくりに繋がります。そして参加者が「楽しい」と感じ、同じ活動に参加している仲間たちともっと会いたい、もっと繋がって活動したいと思う気持ちが、結果として持続可能な防犯活動に繋がります。

NPOと地域コミュニティとの連携は必要不可欠

 最初は、無理やりはじめたパトロールがきっかけになるのかもしれません。パトロールをやっている道すがら、子どもの話、家族の話、地域の話をお互い話す機会もあるでしょう。他愛のない情報交換も、コミュニティづくりには重要です。知らず知らずに個人情報が蓄積され、交流し、活用されます。その情報を元に、地域内で余力のある人を集めたり、問題解決のための術をみんなで考えることもできます。お互い助け合える相互扶助関係も生まれることでしょう。
 また、子どもたちの安心・安全の問題に取り組めば取り組むほど、コミュニティの中だけでは、解決できないことがよくわかります。専門的な知識を持つNPOと地域コミュニティとの連携が、必要不可欠なものになってくるはずです。

「防犯のまちづくり」が新たなコミュニティの創造に  

 個々の地域の課題は安全マップの作成等によっても、明らかになるでしょう。住民、行政、警察等の「協働」なしには、解決できない問題がよくわかるはずです。「まちのつくり」自体が問題である場合もあります。周辺の環境の問題による場合もあるでしょう。単純に、街灯や防犯カメラを設置すれば済むことかもしれません。通報システムの整備が必要になるケースもあるでしょう。この種の問題は、地域の状況に大きな差があるので、地域の実情に最も精通した地域住民が優先順位を決めて、行政や警察に具体的に提案をしていく方が、社会全体から見て最も効率的でかつ望ましい選択ができるはずです。   
こうした市民の力の結集による問題解決は、地域コミュニティや住民相互、住民集団・行政・警察との信頼関係を生むことでしょう。これらの関係は、「安心・安全」の次の課題が生まれた時も有効に活用できることになるでしょう。


■栃木県内の「子どもの安全」に関わる取り組み

 様々な活動が日々新聞等で取り上げられていますが、ここではその一部を紹介します。

パトロール
●ワンワンパトロールWanパク隊(佐野市)
 子どもたちの安全を守ろうと、愛犬家たちが散歩の時間を利用して登下校中の警戒に当たっている民間ボランティア団体。隊員随時募集中。
TEL:0283-22-7456(隊長:山下弘美)

●防犯ステッカー
 社会貢献の一環として、壬生町緑町3丁目「みどり交通」、栃木市境町「栃木合同タクシー」、鹿沼市郵便局、黒磯商工会東那須野支部まちづくり委員会などが、バイク、車等に防犯を呼びかけるプレートを掲示し、地域防犯パトロールを開始。

自主防衛 
●子どもの人権「CAP」なす
 CAPとは、Child Assault Prevention(子どもへの暴力防止)の頭文字を取ったもので、子どもたちが問題に巻き込まれたり、権利を侵されそうになったとき、自分自身で身を守る力を引き出そうという教育プログラムを行なっています。
 子どもたちは、ロールプレイング(寸劇)を通して、子どもにも権利があること、自らの素晴らしい力に気づき、危機的な状況に立たされた時でも選択肢があること、暴力から逃れる方法、知識、護身術を体験し、自分で身を守ることを一緒に考えています。また、事件が起こるたび増幅する、子どもたちの大人への依存心や無力感を軽減し、自立した行動を促しています。
 子どものプログラムだけではなく、大人や教職員のプログラムも実施しています。子どもたちを取り巻く大人全員が、子どもの安全を考え、安心できる地域を作ることが大切です。CAPを受けたからといって100%安心ということではありませんが、子どもたちが暴力や誘拐から逃れた事例もたくさんあります。子どもを信じる、子どもに安心、自信、自由を!そんなアプローチを持つCAPをお茶の間の話題にしてください。
TEL:0287-65-1758土屋/FAX:0287-65-3971田中
    *CRT栃木放送ゆうがたフレンズの「エールをおくろう!」のコーナーで12月26日(月)
     に紹介された内容から一部抜粋、編集したものです。

●子どもたちを事件・事故から守るためにご協力ください。
 栃木県では、「こども110番の家」等への参加協力団体、各学校が必要とする学校安全ボランティアへの参加協力団体、地域安全パトロールへの参加協力団体等を募集しています。
(詳細は、http://www.pref.tochigi.jp/kyouiku/anzen/youshiki.htm)
問い合わせ:栃木県教育委員会事務局総務課教育政策担当
TEL:028-623-3360  FAX:028-623-3356   E-mail:soumu@pref.tochigi.jp

日頃からの地道な取り組みの積み重ねが、犯罪に強いまちづくりにつながります。全ての大人がそれぞれの立場で、子どもたちを守るために何ができるかを考え、できることから始めることが大切ではないでしょうか。

この内容は情報誌「ぽ・ぽ・ら」2006年2月号に掲載したものです。 )

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