特集 協働のすすめ(7)地域住民が一丸となって地域防犯!〜NPO法人飛組(ひぐみ)〜

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特集 協働のすすめ�地域住民が一丸となって地域防犯!〜NPO法人飛組(ひぐみ)〜

 それぞれの個性を認め生かしあって一緒に目標を実現していく「協働」。今回は地元の警察や、大学とともに、地域をあげて防犯活動にとりくむNPO法人飛組(群馬県前橋市)の事例から、協働のキーポイントを探ります。

■協働年表

●1991年、「日吉町二丁目祭り実行委員会(飛組の前身)」が立ち上がる
 ・それまで地域の祭りは子供会役員が続けていたが、高齢化等で中心になる人が少なくなっている状況から、祭りを盛り上げ子どもたちに伝承していくため、住民有志で実行委員会を組織。江戸時代の祭の華やかさを復活させようと、本格的に御輿や山車を一新。様々な世代の人たちが祭りに関わり親睦の輪を広げた。
2003年4月、「NPO法人飛組」の誕生・祭りが生んだ団結力を地域のまちづくりに活かそうと、実行委員会のメンバーが会員となったNPO法人飛組を設立した。
 ・祭りのまかない時の、食事を大量に提供するノウハウを生かし、災害時に炊き出しを行う専門グループ「雅会(みやびかい)」を飛組内につくる。
●防犯ポスターを作成し、町内全380戸に配布
 ・町内に盗難が多発し、治安の悪化を感じ、自主的にポスターを作成、配布。これがきっかけとなり、前橋警察署と防犯に関する情報交換を開始。
 ・「防犯センサーライト(器具・ライト用の電気代は設置希望者負担)」を地域の希望各戸に工事費無料で150個取り付けるとともに、前橋警察署と合同で防犯パトロールを実施。
2005年、「前橋警察署」、「e自警ネットワーク研究会」とともに町内に防犯カメラ35台設置
 ・盗難件数は減少したが、なくなりはしなかったため、群馬大学で開発したソフトウェアを使用した防犯カメラを設置(工事費は飛組が負担。電気代等経費は住民負担)。
 ・運用にあたっては、プライバシーの保護及び、適正な管理を行うため「NPO法人飛組防犯カメラの設置及び運用基準」を定めるとともに、画像管理者(カメラ設置者宅)に「防犯カメラ運用に関するガイドライン」を厳守する旨の確認を取り運用。

● 2005年6月、「NPO法人飛組ブルーパトロール隊」結成
 ・青色回転灯(着脱式)を会員の自家用車11台に装備し、市内の防犯パトロールを開始。(回転灯の購入費用は飛組負担)

2006年1月、「平成17年度地域づくり総務大臣賞」受賞
 ・地元大学と協働で防犯システムを構築し、青色回転灯の使用などのアイディアを取り入れ、負担のない範囲で継続的に活動するなど、住民による防犯とまちづくりが一体化、総合化されている点が評価された。
●2006年2月、(社)日本損害保険協会「防犯特別賞」受賞
 ・祭りの親睦団体から防犯ボランティアに発展。センサーライトの設置や、大学開発のソフトを活用し、防犯カメラの設置を行うほか、防犯パトロールに青色回転灯を導入するなど地域での防犯の取り組みに努めた点が評価された。

■協働の内容

1 前橋警察署との情報交換

   ・日常的に情報交換会を行い、犯罪情報の提供や合同パトロール、防犯指導を受ける

2 e自警ネットワーク研究会(群馬大学工学部)との共同研究
   ・研究に関する契約を結び、防犯カメラシステムの共同開発、共同研究を行う
 
 NPO法人飛組 会員数:240名
 日吉町2丁目の自治会会員が約9割を占める地域密着型のNPO法人。防犯をはじめ、災害救援、環境保全 、保健福祉の増進など地域のまちづくりを目指す。地域のニーズにすばやく対応する機動力と、地域密着だか らこその会員の特技を活かした無理のない活動により様々な問題の解決に取り組んでいる。様々な職種の会 員が、それぞれの特技を生かした活動を展開。
 
 e自警ネットワーク研究会
  ・2003年、群馬大学工学部藤井助教授(会長)と吉浦助教授(副会長)により設立。工学部内に事務局を置き 、教員4名・学生3名により運営されるボランティア団体。主に防犯カメラのシステムに関する技術的な 情報やソフトウェアをホームページ上で無料で提供している。アドバイザーとして、群馬県警察本部、桐生警察署も研 究開発に関わる。
  ・コンセプト「地域社会の安全のため、一人一人が自分の家の前を見守る」「自分のためではなく、地域のため !に」「自分の家の敷地内ではなく、自分の家の前を見守る」
  URL:http://www.e-jikei.org


■関係者が語る「協働の効果」

 「NPO法人飛組」副理事長の熊倉繁さん、「e自警ネットワーク研究会」会長の藤井雄作さんから協働のポイントを伺いました。

持てる力(ノウハウ)の違いを互いに活かす    

熊倉:「地域の安全は地域で守る」という考え方により個々の家でなく、地域全体を守るという視点で、道路に防犯カメラを設置することを考えました。しかし、飛組のノウハウだけでは防犯カメラの設置はできなかったと思います。カメラの映像を処理するソフトは大学、設置場所の情報は警察の協力が必要不可欠でした。自分たちだけではできないことも、他の団体や機関など、異分野の人々と手を組むことによって、お互いが刺激し合い、活動の範囲が広がりました。 
 
 この防犯カメラは、犯人を捕まえるために使うのではなく、犯罪を未然に防ぐために設置しています。設置によるプライバシー等のトラブルが当初心配されましたが、きちんとした設置基準を設けることで、今のところ問題は起きていません。むしろ設置したことで安心感があるという反応が多いです。しかし、この町内だけカメラをつけたり、防犯に取り組んでいたのではだめだと思っています。全国各地域で住民が独自に防犯のまちづくりに取り組むことで安全なまちになることが必要です。犯罪をおこさせないまちづくりに 他の地域でもみんなで取りくんでこそ効果があがると思います。
 
 今は防犯に力を入れていますが、飛組は住みよい地域のまちづくりを目指しており、今後は子どもの育成など、できることから少しずつ進めていくつもりです。また、今回の協働がきっかけとなり、地域社会で高齢者を支えあうシステムづくりに取り組むことを目的としたNPO法人を立ち上げました。今後も可能な限り違った力を持っているところや地域の団体と協働することでより大きな効果をあげていきたいです。

効果をあげるためには「協働」が必要
                
藤井:一緒に研究する1年くらい前から飛組さんのことは新聞記事で知っていましたが、熊倉さんが私たちの記事をみて、連絡をくれたことが協働のきっかけでした。システムそのものを作っても、それを実現する場であるカメラの設置場所を探すことは困難でしたし、プライバシーの問題もあり、警察も慎重でした。飛組の行動力で、町中の「道路を映す」という私たちの希望が実現されました。何でも最初にやる人は大変です。飛組は、その意味ではパイオニアといえるのではないでしょうか。大学だけではできないことが協働することで実現できました。
 
 現在、日吉町2丁目の他、桐生市内の全小学校、みどり市の小学校、前橋市内などでもこのカメラが導入されています。私たちはカメラを運用するためのソフトウエアを開発し、無料で提供しています。これまで2000件以上ソフトのダウンロードがされています。現在は、より高度にプライバシーを確保できるシステムを開発しています。
 
 この研究会を設立し、いろいろな機関と協働で活動してきたことで、私自身のボランティア活動のきっかけともなりました。そして、熊倉さんのようなボランティアをされている方や警察、地域の方々などが声をかけてきてくれて、交流の場が増え、活動の幅も広がりました。研究会自体は、大学の中でソフトウエアを開発し、外に出していくということに特化させたいため、構成人数を絞っていますが、今後も広くいろいろなところと協働していきたいと思います。

NPO法人飛組
〒371-0017 前橋市日吉町2丁目17-18
TEL: 027-234-0890
E-mail:higumi@dance.ocn.ne.jp
URL:http://www16.ocn.ne.jp/~higumi/top.html

■協働の「キーポイント」
 ★地域密着型の得意技を活かした協働
 ★団体の積極的な情報発信による協働のきっかけづくり
 ★団体の持てる力の違いを活かし、単独ではできないことを可能にする協働


この内容は情報誌「ぽ・ぽ・ら」2006年11月号に掲載したものです。

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