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今年度、この特集では「協働」をテーマに県内外のさまざまな協働事例を取り上げてきました。そこで、県内で実際に様々な活動を展開している3人の方にお集まりいただき、情報誌編集部とこれらの事例や県内外の協働に関する動きから共通してみえてくる協働のポイントや成果をふりかえり、さらに今後を展望する座談会を開催しました。その様子を2月号に引き続き掲載します。 |
「隙間」はボランティアNPOのステージ
中田:今あちこちで「市民社会を補完するために、いろんな事業を協働でやりましょう」と言われています。基本的にはボランティアやNPOが「社会の隙間」の部分を補完していければいいことだと思いますが、本当の「隙間」を埋めるための努力は、しようと思う市民の人たちが手を出せるような状況ではありません。
飯島:その「隙間」をやりたいから、介護保険事業の仕事をして介護報酬を頂いて、それを基にして「隙間」を埋めているというのもあると思うんです。NPOの立場で福祉や介護の仕事をしていて、「制度にない部分だからできません」ではなく、そこから先の「隙間」の部分をしっかりやっていくのが私たちの本来のステージだと思っています。でも非常に難しい部分でもあります。介護保険の対象となる事業だけきっちりやっていれば、もっといい状態でスタッフも働けて、事業所そのものの設備投資もできますが、収入が見込めないと分かっていても必要な部分(隙間)をどう創り出して、埋めていったらいいのか。介護保険事業だけやるんだったら、別にNPO法人でなくてもいいのではという気もします。
槇:それは「ミッション」をどこに持っているかということですよね。でも、本来の市民活動が目指すものと、単なる介護保険事業者が目指すものは違うのではないかと思います。飯島さんたちの「ゆいの里」では、地域の困りごと、つまり「隙間」を何とかしたい。でも一方で、そこで生活をかけて働く人たちも守らなくてはいけない。それがジレンマですね。
地域のNPOと中小企業
中田:NPOのマネジメント相談会の時に、「私たちの思いを理解してくれる企業だけと協働したい」と7割くらいの団体は言います。企業と協働しようとは考えているけど、たぶん仕方がわからない。そういう、なかなか協働できないNPOは多いかもしれません。社会貢献活動がこれから継続的に発展していくためには、企業がそこに積極的に参入していかないといけないと思います。今、宇都宮市などでは基金とかファンドとかを始めていますが、もっと小さな部分を補っていくためには、中小企業の協働力が重要な役割となります。現実、私の会社でも広告広報を目的に、年間30万円くらいは4つのNPOに定期的に出しています。
例えば、青少年健全育成を目的とするNPOと企業がどう関わりがあるのかというと、そのNPOで子どものいる家庭へ配るパンフレットに企業の広告を出すことで、もしかしたら宣伝効果があるかもしれない。そういう効果があると思えば、お金に関しては地元密着型中小企業の方がちょっとした大きな会社より集まるかもしれません。そのNPOではパンフレット印刷代、企業では宣伝効果といった相互にメリットのある関係ができさえすれば資金は動きやすいと思います。
規模的に中小企業だと、ボランティア休暇導入はなかなか難しいから、経営者自ら決断できるものとなると寄付金や広告宣伝費になるわけです。
「協働」は地域社会に役立つのか
飯島:私たちが「応援されてるな」と思うのは、毎日来る魚屋さんや、OA機器のサポーター、自動車修理屋さんなど、地域のお店やさんや地域の人たちです。お金のことはおいといて、ともかく駆けつけてきてくれたり、何気なく寄って手伝ってくれることが一番心強いです。それ「協働」だと私は思っています。
鈴木:企業の専門性を活かした「協働」ですね。
角田:地域の人たちは、飯島さんたちの頑張りを見ているから、ちょっと手伝うとか駆けつけてくれるのですよね。
中田:お金を出してるところも、「協働だ」なんて思って出してないですからね。
槇:自己満足ではなく、みんなの共感を得る形で潔く「やるっきゃない」と動き出した人がいたら、みんな応援しますよね。実際のところ動き出してみると、自分たちだけでは解決できないので、必然的にいろんな人たちとつながった形ができあがっていくと思います。これまで「特集」に取り上げた団体の人たちも、言われてみたら「ああ協働なの」という感じだと思います。
角田:そうですね。「一緒にやると楽しくて良いものができるから…」という感じでした。
鈴木:一つの団体ではできなかったことが一緒にやることでできたからすばらしいんだけど、そのことが一体どういう社会貢献につながったのかが問題だと思います。地域社会にどこまで貢献できたのかというところの評価は曖昧ですよね。
飯島:私たちは初めて行政と協働の事業をして、「費用対効果」ということを絶えず意識しています。自主事業でなく、税金を使わせていただく訳ですから。そして、その事業の評価をするという面では、単に「こんないいことしています」と言うのではなく、行政にそのことを提示するには、それを数値化して伝える努力をしないといけないですね。
誰にでも通じる言葉を
鈴木:市民活動団体同士が協働していくというのもまた一つ難しい部分だと思います。栃木市では、「文化によるまちづくり」の試みとして「ひろっぱちゃぶだい物語」という市民手作りの演劇を昨年10月に公演し、文化の掘り起こしをしながら、その人たちをどうネットワークしていくかということを始めました。演劇やミュージカルというのは、専門家が山ほどいて、その人たちの議論ががんがんぶつかり合うわけです。そうすると、「もうこんなんだったらやらない方がいいんじゃないか」という話が出てくる。その時に、間に入って翻訳できる人がいないと、お互いを理解し調整することはものすごく難しいなと感じました。
飯島:でもそのプロセスって大事だと思いませんか?結果はともかく、そういう人たちをつなげるプロセスで、地域でネットワークを作れないかなと思います。
鈴木:NPOがいろんなものを受託したりして「公」が担保される。そして、自分たちも「公」を担っているという意識が出てくる。これはすごく重要なことですね。そして、その周りにいる市民活動のことを知らない人たちが、その団体をどれだけ認知し、拍手を送り、寄付を含めて応援できるか。よく「100万円を一つの企業が出すNPOよりも、100人の人が1万円ずつ出しているNPOの方が力がある」と言われるけど、全くその通りだと思います。
槇:NPOの活動をしている人たちの話が、どれだけ周りの
人たちから共感を得られるか。そこがなかったら、お金も入るわけがないですよね。その人たちの活動がどんな意味を持っているか、わかりやすく伝わらない限りは、「支援してください」ということ自体に無理があります。「相手の立場」や「相手の論理」で考えたらどうなるかを常に思いながら、コミュニケーションができる、「誰にでも通じる言葉」を持っていくことが、企業でも行政でもいろんな人たちと手をつないで何かやる時の根本だと思います。
コミュニティ再生の新たな芽
鈴木:僕は、これから地域活動や町内会・自治会などの「地域コミュニティ」と、「テーマ型のNPO」がどうしたら課題を一緒に解決できるかという協働の事例をぜひ成功させたいし、そういう事例をつくっていきたいと思っています。
中田:今県内では、今市で起きた悲惨な事件がきっかけとなって、予想を上回る人たちが地域の「安全・安心」ということで動き出しています。お年寄りとか団塊の世代とかが地域に出てきて、自分たちの子どもや孫の世代の人たちと一緒になって、今一つのことをやり始めているわけです。市民活動というような意識ではなく、とにかく「自分たちの地域の問題は自分たちで何とかしなければ」という動きです。
そこで、これを機会にして、どうしたらうまく地域の絆を結び直すことができるかを考えなくてはならない。その意味では、崩壊しかかった地域コミュニティを再生する千載一遇のチャンスだと思います。
槇:非常時になると、ふだん見えなかった地域の力が発揮されるということがあります。町内会・自治会をはじめとする地縁型の人々の動きに、問題解決の手法を身につけたNPOの力をうまく取り込むことで、地域の力をどう伸ばすことができるか。これからの課題ですね。
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