広報

思いを共有してもらうためには?

 社会課題が山積する中、NPOの果たす役割に期待が集まっています。一方、NPOが非営利で活動を続けていくためには、周囲の理解と協力を得る広報の力が欠かせません。
 しかし、現状では、「広報やコミュニケーションが、なかなかうまくいかない」と悩んでいるNPOは多いようです。NPOの広報がうまくいかない場合、「誰に、何を、伝えたいのか」が上手く整理できていないことが考えられます。自分たちの思いや問題意識を、どうすれば一般の市民に共有してもらえるか。それを考える意味では、NPOの広報は、企業の広告や人と人とのコミュニケーションと同様です。まずは、こちらの伝えたいことをきちんと整理することから始めましょう。

ターゲットとコンセプトを明確にしよう

 NPOの中には、「活動資金が足りない」、「人手が不足している」など、様々な悩みを抱えながら頑張っている団体が多いと思います。その中で、広報活動で解決できそうな課題はないか、自団体の抱える課題を整理してみてください。課題を出して整理すれば、広報活動で解決できる課題が見えてきます。課題が沢山ある場合は、優先順位をつけ、伝える内容を一つか二つに絞りましょう。
 また、広報内容を検討するに当たって、「こういう仕事を手伝ってほしい」、「こんなことをしているので寄附をお願いしたい」などの目的を明確にする必要があります。
 そして、伝えたい相手(ターゲット)を具体的にイメージし、伝えたいこと(コンセプト)をはっきりさせることが大切です。「誰に、何を」を明確にしておくことで、広報も相手に伝わりやすい、生き生きとしたものになります。

団体スローガンを作ろう

 一般企業と比べて知名度の低いNPOが、日ごろの活動について、周囲から共感を得るためには、「どんな団体なのか?」が明確に分かることが必要です。そのためには、「自分たちの活動を一言で表す団体スローガン」があると、効果的です。
 団体スローガンを作ったら、パンフレットやチラシ、WEBサイトやイベントなど、様々な広報活動の場でスローガンを使ってみてください。何度も目にしているうちに、「何をしている団体か」覚えてもらえるようになります。

メリハリのある広報を

 団体のパンフレットやチラシを作成する際、限られたスペースに、あれもこれもと盛り込みすぎると、手に取った人が「読みにくいもの」になってしまいます。まず、「一番言いたいことは何か」を明確にしましょう。そして、読む人の気持ちになって、情報量や文字量を思い切って減らしてみてください。広報物のスペースに余裕が生まれれば、「言いたいこと」を大きな文字にして目立たせるなど、レイアウトの工夫も出来ます。
 表現のちょっとしたコツや工夫の凝らし方で、デザインにメリハリをつけ、団体のイメージアップを図りましょう。

効果的な広報手段

 せっかく良いチラシを作ったとしても、伝えたい相手の目に触れなければ、広報の意味がありません。コミュニケーションの内容や表現と同様に、どういうメディアで、どういう場所で伝えるか、効果的な広報手段を選ぶことが大切です。届ける相手、内容、目的に応じて、メディアやアイテムを選びましょう。
広報手段 媒 体 特徴など
定期的な情報発信 会 報 読んでみたくなる工夫を
団体の自己紹介 パンフレット 基本情報が分かる団体の名刺代わり
イベントの告知 ポスター・チラシ ぱっと見で分かるように
WEBやメール ホームページ、ブログ、メールマガジン 手軽に広く情報発信できる
映像 ビデオ・DVD リアリティや説得力がある
体験しながら イベント その場の臨場感とともに伝えられる
すばやく確実に伝える FAX 手に取ってもらいやすい
公共メディア 地域の掲示板、広報紙 地域広報は、主婦や高齢者層に多く読まれている
コミュニティメディア コミュニティラジオ、ケーブルテレビ、タウン誌 コミュニティの中で、特定の情報を得たり、発信できる
マスメディア 新聞・テレビなどの報道 情報のリリースの仕方がポイント
会って伝える あなた自身 説得力がある

マスメディアを活用しよう

 地道な広報活動はとても大切ですが、沢山の人に知らせるという点では、新聞やテレビなどのマスメディアは大きな影響力をもっています。団体の活動をマスメディアで取り上げてもらうためのひとつのツールとして、「ニュースリリース」があります。マスメディアが取材したくなるようなニュース性を盛り込むことができれば、取り上げられる可能性はぐっと高くなります。例えば、「はじめての試み」、「ユニークな活動」、「いま注目されているテーマ」など、アピールできる点があると強みになります。
 ニュースリリースの届け方については、郵便やFAXで送付する方法が一般的ですが、必要であれば、記者発表をする方法もあります。記者発表の場合は、行政の記者クラブなどに相談してみてください。